社名は、アグリカルチャー(A)とエコ(E)に由来しています。 もともと倉吉で環境事業の仕事をしており、農業の新分野を展開するにあたって命名したものです。今年でちょうど設立10年目になります。
産業廃棄物の収集などが主な事業で、まったく農業とは関係のない業種でした。 農業進出のきっかけは地域貢献でした。この建物自体は、20年くらい前のもので倉吉市が所有していたものです。最初に入っていた会社が7、8年くらいされていたようですが、その後2年くらい、ここは空いたままになっていました。
倉吉市のも何か活用方法を模索しており、弊社の社長にお話しがありました。施設の活用方法と地元雇用で貢献できると考え、農業事業に進出することになりました。
このハウスはトマト専用の「水耕栽培施設」です。当然、水を使うのですが、水だけではトマトは育ちません。この施設には、トマトにあった配合の肥料などを自動で行うシステムが備わっています。 水は大山の伏流水という地下水をくみ上げて利用しており、みずみずしくておいしいトマトができるのが特徴です。
作付は「一年一作」という方法で、1度植えた苗を1年間栽培します。無駄が少なく、植え替え作業も年1回だけです。長段収穫というのですが、1本の木から何個もトマトが採れるため、効率的で多収穫が望める栽培体系をとっています。 春から年末まで、収穫~出荷を繰り返し作業します。
1本の苗から1年を通して収穫できるのですが、1年後にはその苗を取ってしまいます。そして次の苗は種から苗まで育て、その苗を植え付けています。
1年を通して採れるので、ふつうの露地とかハウスであれば多くても10段くらい、ふつうは5、6段ですが、うちは24段くらいまで採れます。実はトマトはちゃんと栄養を与えてあげればずっと同じ木で育つもので、手をかければ採れます。
他のトマト農家さんとの違いは、やはりシステムです。山陰ではあまり見かけないものですが、山陽方面とか四国では一般的なシステムです。 栽培の技術は四国の徳島県が先進的で、そこから技術指導をしていただいています。 今年で10作目ですが、最初の5、6年は失敗続きで、やっと安定し始めました。それまでに多くの品種を試してきました。
年間通して栽培するには課題も多かったのですが、それを乗り越えやっと安定した栽培にたどりつきました。 今は「麗容(れいよう)」という品種がこのハウスに合っているようで、その品種を栽培しています。 「王様トマト」というブランドがあり「麗容」「麗月」などいくつかの品種があります。その中で「麗容」がここの環境に合っているようで、今はこれを中心にしています。
うちでは「笑心とまと」という独自ブランドで出していますが、今年からは「かっさまとまと」というブランドも展開しています。
「かっさま」というのは「かっさまやれやれ」という、地方の方言を取り入れています。県中部の年配の方が「やれ、かっさま」と言うのですが、県東部で言う「わったい」と同じような意味です。「びっくり」「すごい」「やれやれ」などのことを、県中部では「かっさま」と言います。 「笑心とまと」は鳥取市・米子市のスーパーなどを中心に販売していて、県外にはイベントなどに期間限定で出展しています。
「とまとゼリー」を開発・製造していく中で、最初の頃はきちんと殺菌ができていなかったこともあり、膨張したり破裂したりしたことがありました。県内で加工業者を見つけるのもかなり難しかったです。
また、レモン味の加工で起こりやすいのですが、レモン果汁の酸味がゼリーをやわらかくしすぎてしまい、水っぽくなったこともあります。その比率に試行錯誤しました。 「固まりすぎてもダメ」「ゆるすぎてもダメ」という、ちょうどいいバランスを探すのが大変でした。発売に至るまでに2、3年くらいかかりました。
この商品は、野菜好きな方はもちろん、お子さんから年配の方まで食べていただきたいです。「ベジタブルスイーツ」をコンセプトにしていて、お菓子感覚で野菜を食べていただきたいと考えています。野菜離れというのもあり、野菜の代わりに食べるという方は少ないのですが「食べ物が喉を通らない時でも、飲みやすい欲しい」という方もおられます。また、お弁当と一緒に食べるために買われる方もおられます。登山のために凍らせて持って行き、頂上に着いた頃に自然解凍した「とまとゼリー」を食べる、という方もおられました。
しかも、低カロリーで100キロカロリー前後なので、子どもでも食べやすいです。
アレンジもできるので、飲み物にちょっと入れて混ぜる、トッピングにする、ドレッシングに混ぜるなどとても美味しいです。「とまと&れもんゼリー」「とまと&ゆずゼリー」は、ちょっとオイルと塩コショウを入れるだけで、すぐにドレッシングにもできます。マリネなどにも使えると思います。そういったレシピ提案もしていますが、飲んでみないとわからないですよね。イベントなどで試食販売していますので、ぜひ試してもらいたいです。
従来はトマトだけを栽培・販売していましたが、季節によって規格外品が多かったり、過剰在庫になる課題がありました。農産物なので仕方ないのですが。 ちょうどその頃、6次産業化が推奨されていて「加工品もやってみないか?」とお声がけをいただき「とまとゼリー」は誕生しました。
実はジャムやケチャップ、ソースなども考えましたが、それらは既にいろんな商品が多くの事業者から発売されています。弊社は後発ですので、他と違ったものを出したほうがおもしろいだろうと考えました。
トマトゼリーの商品開発で悩んでいた頃に「飲むタイプの商品が面白いのでは?」と東京の方に助言をいただきました。
都会は電車移動が多く車を運転する機会が少ないので、手軽に持ち運べてさっと食べられるものが好まれる、と。
そこで透明な容器を使い、利便性だけでなく見た目にもこだわってみました。みかんゼリーも同じようなタイプがあり、面白いかなと思ったのがきっかけです。
「とりそらたかく」のラベルは透明にして、中身がしっかり見えるようにしています。着色していませんし、余分な添加物も入れないようにしている、シンプルな商品です。
この「とまとゼリー」は飲むタイプなので、「のど越しがすごくいい」と言う声を聞きます。固形ではないので食べやすく、食欲の落ちやすい夏でも食べられると好評です。今年の夏もかなり暑かったので、よく食べていただきました。女性の方はレモンを好まれるようです。男性の方はちょっと酸っぱいと言われますので、好みが分かれます。
「とまとゼリー」の特徴として果汁比率が高いことがあります。他の商品と食べ比べるとわかりますが、ここまで濃い色とトマトのしっかりした味は、かなりの量の果汁を使わなければできないと思います。それが「とまとゼリー」の特徴で、当然、無着色です。この濃い色を見てもらうために、透明の容器を採用しています。
いろんな可能性のある商品で、これは半冷凍でも食べられます。シャーベットのような感じで夏にオススメです。夏はこの爽やかで透明感のあるイメージで売れるのですが、冬の間は落ち込むので、その点が今後の課題です。
もともと青果を中心に取り扱っていたので、商品開発、特に加工について非常に苦労しました。加工してくれる業者さんを全く知りませんでしたから、会うまでかなりの時間がかかりました。商工会議所さんとかいろんな方にお力添えをいただき、いろんな研修会に参加したりして勉強させてもらいました。
かなり加工品って奥が深いなあと、痛感しました。今まで買うことあっても、作るといえば家庭料理くらいでした。
また、それを売るとなると、いろんなハードルもありました。たった1つの商品ですが「この1種類だけでは取り扱えない」「卸業者がいないので扱わない」など、いろんな制約がありました。
最初の2、3年くらいはまったく売れず、売れても単発で売れる程度でした。他の商品を作ったほうがいいんじゃないかと、葛藤もありました。商品開発するたびに挫折を味わいました。なんとか3商品が揃い、今は継続的に取引してくださる先も増えました。やっぱり6次産業は一筋縄ではいきませんが、やりがいもあります。
加工業者が見つからない、販路が開けないという時、地元の繋がりに恵まれたと思っています。もともと商工会さんと一緒にやっていたのですが、倉吉のサンパックという会社の社長さんが、加工のことにも詳しくお付き合いの広い方で、相談させてもらいました。加工に関すること、販路開拓についてもお手伝いをいただいて、本当に助かっています。
「とまとゼリー」をたくさんの人に知ってもらい、トマトの新しい食べ方じゃないですが「こういう食べ方もあるよ」というのを知ってもらいたいです。
とっとり中部発信プロジェクト
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